基礎講座、講演会

2000年講演会

第3回 講演会

■日時:2000年12月12日

■場所:はあといん乃木坂(健保会館)

  • 『【基礎講座-病原微生物シリーズIV】 黄色ブドウ球菌・ブドウ球菌エンテロトキシンについて』

    東京農工大学 名誉教授/(財)日本食品分析センター学術顧問 小川 益男 氏

    今夏,ブドウ球菌エンテロトキシンによる食中毒が発生し,大きな社会問題として取り上げられました。これは単に乳製品にとどまらず,わが国の食品業界全体に大変大きな影響を及ぼすこととなりました。過去においても,アメリカ合衆国で,中国産キノコから検出されたブドウ球菌エンテロトキシンが原因とみられる食中毒が発生しております。(1989年)そこで今回の基礎講座は,黄色ブドウ球菌はどのような菌なのか,ブドウ球菌エンテロトキシンの特徴は何か,両者の関係はどのようなものであるのかなど,小川先生にわかりやすく解説していただきますす。(事務局)

  • 『異物鑑別法について』

    近年,消費者の安全性に対しての関心の高まりから,食品に対しての苦情が以前に増して多く寄せられています。この中には腐敗やカビの発生といった比較的容易にその原因が明らかとなるものもありますが,異物が混入している,味がおかしい,においが変であるといった見た目では原因がわからないものも少なくありません。今回の講演では,こうした苦情の中で特に食品等の製品に混入した異物に焦点を当て,異物がどのようなものであるかを調べるための科学的手法について,現在,演者が所属している財団法人日本食品分析センターにおいて実施されている検査方法を御紹介して頂きます。(事務局)

  • 『JAS法(農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律)改正 ~食品表示基準について~』

    農林水産省食品流通局食品表示対策室長 大西 詳三 氏

    今般,食品表示の充実強化として,一般消費者向けのすべての飲食料品が品質表示基準の対象となりました。また新たに有機食品の表示制度も創設されました。本講演では品質表示基準の概要,改正のポイント,有機農産物の定義,有機の表示の規制などについて食品表示対策室長の大西先生に解説していただきます。(事務局)

  • 『【基礎講座-病原微生物シリーズIII】 サルモネラとは』

    東京大学大学院農学生命科学研究科 教授 熊谷 進 氏

    鶏卵を生食するわが国の食習慣を考えますと,鶏卵のサルモネラ汚染は大変気になるところです。また,昨年イカ菓子によるサルモネラ食中毒が全国的に発生した事は記憶に新しいところです。そこで今回の基礎講座では,サルモネラとはどのような細菌なのか,その食中毒や予防法などについて,食鳥卵(液卵)の規格基準策定にも携われた熊谷先生に,わかりやすくお話していただきます。(事務局)

  • 『容器包装リサイクル法施行のその後』

    財団法人日本容器包装リサイクル協会 専務理事 上野 明 氏

    容器包装リサイクル法は,ガラスびん及びペットボトルの一部が,平成9年4月より対象容器とされてきております。ところで本年4月1日の改正により,対象となる容器包装の拡大(紙製容器包装,プラスチック製容器包装)や,対象となる事業者の拡大がなされております。これらの改正点を解説いただくと共に,その問題点や今後の動向などについてお話していただきます。(事務局)

  • 『食品物性と咀嚼の科学』

    食品総合研究所食品理化学部食品物性研究室 神山 かおる 氏

    私たちは日頃当たり前のこととして食品を咀嚼し,味わい,嚥下しています。咀嚼能力は生後の噛む訓練によって習得され,老化により低下します。現代の食生活はよく噛めない若者を増やし,咀嚼を担う歯の平均寿命が50年という現実は,高齢社会日本にとって大きな問題です。本講演では,とくに食品物性と咀嚼との関係について,咀嚼の効能を概説しながら述べます。また食品品質の一つとして食品物性が,咀嚼運動や口腔機能にどう影響するのか,研究の最先端をご紹介します。

  • 『世界の食料問題と遺伝子組み換え農産物』

    生物系特定産業技術研究推進機構 理事  貝沼 圭二 氏

    この30年間,我が国の食料自給率(供給熱量自給率)は減少し続け,現在では41%に,穀物自給率に至っては28%となっています。我々の食生活は海外の食料生産に依存しているのが現状です。しかし近年,世界の穀物生産は減少傾向を示しているといわれます。また遺伝子組み換え農産物の問題は産業界,消費者とも関心の的となっています。2000年を迎え,WTO新ラウンドの行方,世界の食料生産動向など改めて幅広く考えてみる必要があるようです。そこで本講演では,我が国の農業を取り巻く最新情報をわかりやすくお話ししていただきます。(事務局)

  • 『【基礎講座 - 病原微生物シリーズII】 多発する腸炎ビブリオによる食中毒物』

    東京農工大学 名誉教授/(財)日本食品分析センター学術顧問 小川 益男 氏

    今夏も腸炎ビブリオによる食中毒が多発しました。毎日のように集団食中毒発生のマスコミ報道があり,なかには患者数が数百名を越す例や,死者を出した例もありました。このところ毎年,数百の事件があり患者数も数千名を超して,わが国の細菌性食中毒の代表格となっています。最近では米国でも腸炎ビブリオによる食中毒の発生が報告されています。そこで今回は腸炎ビブリオとはどのような菌なのか,その食中毒の特徴は何か,また予防方法は何かなど食品衛生微生物学の第一人者である小川先生にわかりやすく解説していただきます。(事務局)

  • 『【基礎講座 - 病原微生物シリーズI】 Clostridium botulinumのおはなし』

    大阪府立大学 名誉教授 阪口 玄二 氏

    ボツリヌス食中毒は菌の増殖によって産生された強い毒素によることが知られています。厚生省の総合衛生管理製造過程に係る承認制度や,米国水産食品HACCP規則などにおいても潜在的な生物的危害原因物質とされています。今回はボツリヌス菌とはどのような菌なのか,ボツリヌス食中毒とは,その予防方法は等々,長年ボツリヌス菌研究に携わってこられた阪口先生にわかりやすく解説していただきます。(事務局)

  • 『特定保健用食品の現状』

    (財)日本健康・栄養食品協会 特定保健用食品部長 石田 幸久 氏

    特定保健用食品の表示許可制度は約8年を経て,市場への定着度も増してきたようです。今回は本制度のための素材の評価方法を始め,市場の概況並びにいわゆる食薬区分の見直しなど,特定保健用食品を取り巻く現状を解説していただきました。(事務局)

  • 『ポリフェノールの実相』

    実践女子大学 生活科学部 教授/食品品質保持技術研究会 副会長 田島 眞 氏

    消費者の健康志向は景気の動向と関わりなく旺盛で,テレビなどマスコミで取り上げられるとその日のうちに市場の特定製品が売切れるようですが,専門的なキーワードが飛び交っている感があります。ポリフェノール,フラボノイド,カテキン,タンニンなども注目されているキーワードです。本年度から当研究会副会長に就任していただきました田島先生に,これらフェノール化合物の定義,分布,機能など先生のご研究を含めてお話していただきました。(事務局)

  • 『我が国の知的基盤整備の充実に向けて』

    通商産業省工業技術院標準部知的基盤課長 武田 貞生 氏

    21世紀もあと数百日となり,我々をとりまく産業活動のグローバル化は加速する一方です。それに伴なって国際的に共通する計量標準,標準物質等の整備(知的基盤整備)が急がれています。現在,食品業界で関心の高いHACCPシステムにおいても,これらの整備なくしてはシステムの検証が適切に行われないことになります。講師の所属される知的基盤課は平成9年7月に設立され,現在精力的にその整備に取組んでおられます。本講演では,我が国の現状,推進方策などについて分かりやすくお話していただきました。(事務局)

  • 『世界バイオテクノロジー事情』

    日経BP社 医療局ニュースセンター長 インターネット局編集部長  宮田 満 氏

    バイオテクノロジーは20世紀最大の新技術ともいわれています。すでに医療,診断薬,農林水産・畜産,食品,環境など多方面に実用化されています。講師はアイスランドの全国民の遺伝情報をデータベース化する法案や,英国でのバイオ産業推進状況等,各国のバイオテクノロジー事情を実際に見てこられました。本講演では食品分野に限らず,広く最新バイオテクノロジー研究の実態,今後のバイオテクノロジーの方向性,可能性等について講演していただきました。(事務局)