基礎講座、講演会

2003年講演会

講演会 (設立30周年)

■日時:2003年12月17日

■場所:はあといん乃木坂(健保会館)

  • 『これからの食安全に係わるシステム転換の動向 ~アメリカにおけるバイオテロリズム法案を中心として~』

    ジョージタウン大学 法科大学院 客員教授 松延 洋平 氏

    現在,欧米及び日本における食の安全に対する考え方,システムは根底からの大きな変革に直面しています。このような状況の中で,アメリカでは公衆衛生安全保障バイオテロリズム法案(Public Health Security and Bioterrorism Preparedness and Response Act of 2002)が施行されます。同法によると,食品を製造,加工,包装,保存する同国内外の施設は,本年12月中にFDAへの登録をしなければなりません。対象施設は約40万と言われています。また,仕入れ先と出荷先を特定するための,定められた記録を保持しなければなりません。これは日本の食品産業界にも,さまざまな影響を及ぼすものであります。そこで今回,現地での調査,視察を行なわれた松延先生に,同法および関係情報についてお話しいただきます。(事務局)

  • 『食品安全基本法の概要と食品安全委員会の活動』

    内閣府食品安全委員会 事務局 次長 一色 賢司 氏

    わが国の食生活を取り巻く情勢の変化に対応するために,食品安全基本法が制定されました。
    食品安全委員会は,リスク管理を行う関係行政機関から独立して,科学的な食品健康影響評価(リスク管理)を,客観的かつ中立公正に行う機関として内閣府に設置されました。国内外の最新の食品安全に関する情報を含めて,食品安全委員会の活動を中心に解説します。

  • ごあいさつ
  • 講演会の様子
  • 講演会の様子

第一回 講演会

■日時:2003年03月12日

■場所:はあといん乃木坂(健保会館)

  • 『食の安全にみる日米欧の位相差 ~フードシステムへの信頼を左右する社会・文化条件~』

    東京大学大学院農学生命科学研究科助教授 中嶋 康博 氏

    はじめての食べ物を口に運べるかどうか。眺めて嗅いでそれでも手のでないこともある。世界の珍味を味わおうと思ったら、危険から身を守るための五感は役にたたない。最後は歴史や習俗への理解が手がかりとなる。あくなき美食への欲求と安全の確保を両立させるための知恵、それが食文化の一つの要素である。しかし知識や伝統が全くない新規技術を利用してつくられた食品の場合、人々はどのようにそれを受け入れるのか。その判断にもその国固有の食文化が影響していそうだが、やはり食品行政や食品産業への常日頃からの信頼が鍵となる。

  • 『中国の食料生産事情と対日農産物輸出』

    東京農業大学国際食料情報学部助教授 大島 一二 氏

    本報告の課題は中国農業の現状を明らかにした上で、対日農産物輸出の実態について検討することである。現在の中国農業は生産過剰、農産物価格の下落、農家所得の停滞と大きな問題を抱え、この対策として中国政府は農産物輸出を推進している。一方で低コスト農産物の輸入は日本の外食産業・食品産業等の大口ユーザーにとって必要不可欠なものであり、この二つの動向が現在の食料輸入の急増という事態を招いた。しかし、輸入農産物には2002年に大きな問題となった残留農薬等の課題も多く残されており、なお注視が必要である。